椎間板ヘルニアについて

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椎間板をとりまく構造

椎間板

背骨の構造は図の通りです。

椎間板は背骨(椎骨)と背骨の間に「はさまった」位置関係にあり、背骨にかかるいろいろな負担をクッションの役割で減らしてくれています。

1つ1つの背骨は、それぞれ上下にある背骨との間を、たくさんの靭帯と椎間板により連結されていて、一見積み木のようで壊れやすい構造に見えますが、実際にはとても強固な構造をしています。

椎間板の構造は外側の繊維輪と、内側のの髄核でできています。

この構造はおまんじゅうの「もちとあんこ」と同じ関係です。

背骨には体を自由に動かすための筋肉や、内臓器を保護するためのあばら骨(肋骨)などが連結していて、いろいろな方向に引っ張られることで形を変えています。

椎間板ヘルニアの発症メカニズム

椎間板は背骨に挟まれているので、上下の背骨が平行なら無理な力が椎間板にかかることはありません。

背骨には「生理的弯曲」と言われるS字のカーブがあることはよく知られています。

そんなカーブがいろいろな理由で本来と違った形になると、椎間板の上下の背骨が水平ではなくなってしまいます。

また、背骨が側弯した場合も左右の方向で水平ではなくなってしまいます。

すると椎間板のどこかに強い負担がかかり、その反対側には負担が少ない状態になります。

その状態が続けばどこかの時点で椎間板の中身である「髄核」が繊維輪から押し出されてしまいます。

これが一般的に言われている椎間板ヘルニアのメカニズムです。

ただ、当院ではもっと別のことが原因だと考えています。

それは、背骨のいくつかが何らかの理由で「かたまって動けない」状態になることです。

背骨は連続した構造なので、どんな動作においても本来は全部の骨が連動して動きます。

しかし、そんな中に固まって動けない骨があると、正常な骨がもっと大きく動く必要がでてきます。

これをオステオパシーでは「ハイパーモビリティ」といっています。

背骨の中で一つだけ横に飛び出していたり、おなか側に落ち込んでいたりする骨は多くの場合、この「動きすぎている骨」です。

「動きすぎている骨」の上下にある椎間板にも大きな負担がかかり、「椎間板ヘルニア」の原因になっていると考えられます。

ですから、椎間板ヘルニアを改善させていくときに大切なのは「かたまって動けない骨」を動けるように調整することです。

背骨が固まって動けなくなる理由は、
  • 臓器の疲労による筋肉の過緊張
  • 衝撃による背骨自体の損傷
  • あばら骨の動きの制限による影響
  • 仙骨・骨盤・下肢のどこかに生じた不具合の影響
などが考えられます。

ヘルニアと関わりの大きい臓器

椎間板ヘルニアが起きるのは大抵腰椎です。

それを考えれば「腎臓」がもっとも関わりが大きいと推測されます。

腰椎にくっついているもっとも長い筋肉は「腸腰筋」です。

背骨をおなか側の左右から引っ張っています。

この筋肉の引っ張り具合が左右で違うと、長い分だけ背骨にアンバランスな力が大きくかかることになります。

「腸腰筋」とかかわりの深い臓器は腎臓なので、ヘルニアにもっともかかわりの深い臓器は腎臓と考えることができます。

ただ、上記の「動けない骨」に関わっているのは消化器系の臓器であることが多いので、人によりケアするべき臓器は違うというのが実際のところです。

椎間板ヘルニアへの当院のアプローチ

椎間板ヘルニアを改善させていくとき避けて通れないのは「背骨の調整」でしょう。

これがうまく行かなければ、改善できたとしてもかなり長期的なケアが必要になります。

背骨以外には、疲労した臓器のケアや全身の活力を上げるために頭蓋骨の調整などを行います。

背骨の調整後も骨盤に動きの制限がある場合には、骨盤自体かあるいは下肢に何らかの不具合があるので、これも調整する必要があります。

椎間板ヘルニアと間違われやすい症状

椎間板ヘルニアと同じような症状を引き起こすものに坐骨神経痛があります。

近年の医学的な研究により、画像診断でのヘルニアの存在自体が痛みや痺れに直接関わっていないことも多いことが分かっています。

坐骨神経痛の場合は、神経の圧迫による症状とされていますが、実際には神経を圧迫しておきるのは麻痺などであり、痛みは出ないとの研究もあります。

つまり、ヘルニアや坐骨神経痛という診断名も、まだまだ分かっていない部分があるということになります。

ただ、もっとも疑われる病名をつけるというのも、病院の業務です。

ヘルニアと坐骨神経痛の鑑別診断というのは、とくに大切なことではないのかもしれません。

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