足首・手首の捻挫について
足首や手首を捻挫した時の適切な処置は、アイシングをしたりシップをはったり、痛みがでにくいようにある程度の固定をしたりすることだと考えられています。
でも、体が少しでも早く回復することを目的にするなら、そういった対処は標準的ではあっても最適ではありません。
体が一番求めていることは「骨や関節をできるだけ元の状態に戻す」ことです。
ですから当院では、シップや固定はせず、シンプルに骨格の調整だけを行います。
捻挫で腫れがひどい場合、痛みが強くても仕方がないと思われがちですが、実際には骨格が上手く調整されればそれだけで痛みは大きく減ってしまいます。
それはなぜかというと、炎症が強いために痛みが強いのではなく、「骨の動きが制限されている」ことが痛みの最大の要因だからです。
もちろん炎症のために出ている痛みもあるので、その場で完全に痛みをとることが難しいこともありますが、骨格が調整されればはっきりと効果が分かります。
痛みの減少度はどちらかというと足首のほうが大きいのですが、それは手のほうが足よりも痛みを感じやすいためだと考えられます。
効果の大きい骨格の調整ですが、整骨院でもそのような対処をしているところはとても少ないのが現状です。
その理由は3つあり
- 手首や足首の関節の構造がとても複雑で、一つ一つの骨も小さいため、どの骨や関節にトラブルが生じているのかを判断するのが困難
- 小さい骨の調整方法がほとんど知られていない
- 捻挫の痛みをすぐに楽にできる方法があること自体を知らない施術者が多い
といったことが挙げられます。
また捻挫の重症度にもよりますが、例えば足首の捻挫のケアのために、足先から膝までの広い範囲を調整する必要がある場合もあり、そのことが完全な解決を難しくしています。
捻挫になったとき、医療機関でケアを受けない人のほうが多いくらいかと思われますが、数日経って痛みがなくなった場合でも、関節の機能が完全には回復していないことが良くあります。
痛みがないことと、関節の機能が完全な状態にあることはイコールではないのです。
特に足首の場合は全身の土台となって働いているので、足首の機能不全がのちのち腰痛や膝の痛みを引き起こしているケースはよく見受けられます。
手首には体重がかかっていないので足首ほど全身への影響はありませんが、腱鞘炎やばね指の発症と関わっている場合があるようです。
速やかな回復が見られない場合には、将来のことも考えて一度調整することをお勧めしています。
当整骨院では足首の調整に時間がかからないので、他の症状で来院された人の足首に慢性的な不調があれば、ついでに調整させていただいています。
捻挫における病院での検査・治療は松田整形外科記念病院のサイトをご覧ください。
当整骨院では徒手検査でしか調べられませんが、重症な捻挫になると骨折も疑われるため、画像での診断はとても重要です。
足首の捻挫についての基礎知識
足首の捻挫でもっともよく起きるタイプのものは、いわゆる「内返し捻挫」と言われるもので、図のように内くるぶし側に足の裏が向いてしまう形で痛めてしまうものです。
どうしてこのタイプが多いのかというと、足首の自由度がもともと反対側には行きにくいようにできていることによります。
それでも、もちろん逆側への捻挫、「外返し捻挫」がおきることもあります。
足首の関節はすねの2本の骨「脛骨」「腓骨」と、その間にはまり込んでいる「距骨」とで構成されていて、「距腿関節」と言います。
捻挫の際は、この関節の本来動かせる範囲を超えてしまうことで、距腿関節や関節周囲の靭帯、骨の靭帯付着部などが損傷します。
足首の捻挫というと、完全に捻った形のものをイメージしがちですが、実際には会談を踏み外したり、少し大きめの「石」を足の裏で踏みつけたりした時にも受傷することがよくあります。
「石」やちょっとした段差で捻挫したケースでは、足首ではなく足部の小さい骨と骨の間の関節を痛めることもあります。
この症例では大きな捻りはありませんが、もともと動きのほとんどない関節を痛めてしまうことで、長期間症状が取れず、歩行にも支障があるくらい痛みが強いこともあります。
足首の捻挫の場合も症状が重い場合は、たくさんの骨や関節の動きに制限が生じて、解決がかなり難しいケースもあります。
そういったケースでは骨折には至らないまでも骨自体の損傷もしばしば見られるので、軽度の捻挫とは違ったケアも必要になります。