当院では東洋医学的な診断をすることが多いので、
舌をみせて頂くことは基本的な検査です。
舌を見て得られる情報は結構たくさんあり、
体の熱の状態や水分の多寡、体力の消耗、
内臓の状態など。
たくさんの人の舌をみていると、ごくまれに
舌のこけが黒くなっているひとがいます。
これは、分かりやすく言うとちょっと危険な体調
です。
僕が学生だったころは、腕利きの先生に、
「舌のこけ(舌苔)が黒い患者さんがこられたら、君たちみたいな
未熟な術者はかえって体調を悪化させてしまうから
断るように」
といったような趣旨の指導があったくらいです。
「なんで黒くなるのか?」
というと、カンジダ菌が増えて硫黄化合物が多く作られ、
これと血液中のヘモグロビンが結びついて黒色になるんだとか。
ちなみにカンジダ菌というのはカビの一種です。
では、どんな人にカンジダ菌が増えてしまうのかというと、
抗生剤を服用することの多い人や、避妊用のピルを使っている人、
きつい食事制限によるダイエットをしている人、体力や免疫力が著しく低下している人
など。
このなかで特に問題になるのは、「体力・免疫力が著しく低下している人」
ですね。
肝炎の治療などで強い薬剤を投与していて、体に大きな負担がかかっている
場合にも一時的に免疫力が低下し、舌が黒くなることがありますが、
普通に生活をしているのに黒い場合、体の中で大きな問題がおきている
可能性が強く疑われます。
鏡で舌をみてみてもし黒かった場合、一度病院で検査を
うけてみたほうがいいでしょう。