よく患者さんに聞かれるのは

足や手にはりきゅうをして、なんで腰痛が良くなるんですか?

と言ったような質問です。

 

腰にはりきゅうをしたほうが効きそうに思えますね。

 

その疑問を説明するにはまず、何が原因となって腰痛が

引き起こされているか、というところから考えてみましょう。

 

腰痛や寝違いや五十肩など、どこかでけがしたわけでも

ないのに自然発生的にでてくる痛みは、内臓の不調が

かかわっていることがとても多いものです。

 

胃が悪くて首が痛くなったり、腎臓の疲れで腰が痛くなったり

というように。

 

ですから、痛みをとっていくときにも、内臓のケアをしていくと

簡単に改善させることができます。

 

胃の元気を回復させたいというとき、胃と関連のある

ツボに、はりやおきゅうをします。

 

胃関係のツボもたくさんあるのですが、要穴といわれる

大事なツボは膝から下に多くあります。

 

ですから、足の膝から下にお灸をすえることになります。

 

神経の密度は、体の末端にいくほど密になっています。

 

ですから、末端にはりきゅうをしたほうが効き目が良いという

のも理にかなっています。

 

そんなわけで、要穴は膝から下と肘から先に集中しています。

 

さて、じっさいにはりきゅうをするとどんな変化が体におきるのでしょうか。

 

はりでもおきゅうでもだいたい同じなのですが、はりきゅうを

すると、その場所に体が注意を向けます。

 

それは、体を守るための反応です。

 

体に傷がついたり熱くなったりすると、えらいこっちゃということで

なんとかしようとするわけですね。

 

そして、そこにエネルギーを集めます。

 

どこからでしょうか?全身からです。

 

胃のツボの場合、胃の関連のあるところに、エネルギー(気)

が集まることになります。

 

このエネルギー的分布の変化が、まず胃の元気を回復させ、

それにより胃の不調から引き起こされていた症状も改善されます。

 

そういったしくみで、体は楽になります。

 

このとき大事なことは、全身のエネルギーの合計量が

増えたわけではないということです。

 

単に、エネルギーのバランスが良くなったということです。

 

ですから、あまりに全身的疲労が大きいと、なかなか体は

改善していきません。

 

全身のエネルギーの総量をふやすこともまた、とても

大事なことです。

 

そのために大事なことは、とても単純で、早く寝ることです。

 

ぎっくり腰になって動けないことは、ある意味体を強制的に

休ませてくれているともいえるでしょう。